大阪市立大桐小学校にて、児童理解力向上研修(校内研修)を行いました。(令和8年〔2026年〕7月22日)

7月22日(水)14:00、大阪市立大桐小学校にて、児童生徒理解力向上研修(校内研修)を行いました。これは、OEN(Osaka city Education Network)を通じてお声掛けいただき、実現したものです。

「その反応、習慣にできたら最高です」

 校長先生にご挨拶をさせていただいた後、多目的室へ。研修担当の先生方が、あらかじめ座学とロールプレイのどちらもできるようにと片付けやすい机と椅子を用意してくださいました。また、直前にお願いしたにもかかわらず、児童机といすをさらに追加していただき大変に助かりました。ありがとうございました。

 研修のサブテーマは「その反応、習慣にできたら最高です」。参加される先生方が、ご自身の児童理解力を体感し、肯定的価値づけについて交流することにより、2学期以降の児童へのかかわり方についてアップデートすることを目指します。

 はじめに肯定的価値づけの意義について確認し、ワークシートを使って自身の日常の反応を振り返りました。

グループごとに授業中のひと場面を創作


 次にアイスブレイクを行い、その後、一組5名ぐらいの6つのグループに分かれ、グループごとに授業中のひと場面を約10分で創作していただきました。
 限られた時間の中で出された課題にしたがい、児童の「気になる行動」に肯定的に対応し、授業の継続が成立できる場面をつくります。
 グループごとに頭を寄せ合い、先生方は楽しそうに相談しています。ご自身の授業で、「こんなことがあった」とか、「このように対応したよ」など、さまざまに経験を交流しあい、役を決めてお題に沿った場面を打合せます。発表に向けて練習されているグループもありました。

 発表の時間が来ました。各グループのロールプレイの概要を紹介しておきます。

Aグループ 

A  授業中に教室に入らず廊下にいる児童へ優しく声掛けする先生。その対応に疑問に思う他の児童。「みんなのちょっとのがんばりが〇〇さんの100パーセントのがんばりやから、そこのがんばりの違いはみんなにわかってほしいなあ」、「漢字ノートだけ出してくれる?」など、児童へ丁寧に対応する姿が展開されていきます。

Bグループ

B  授業中、消しゴムが投げられました。自分の消しゴムが投げられたという児童。教師の反応に一つ一つ気になる返答をする児童がいます。先生はそれを丁寧に聞き、動じず肯定的に返します。悪戦苦闘する先生の生の姿が描かれます。

Cグループ

C  周りの子たちが困るほど練りけしで遊んでいます。「いままででいちばんでかいんちゃう?」「一か月かかったよ」「すごいなあ」、「これで、割り算の問題にしてみて?」、「120を4に分けると……?」見事に授業に取り込みます。

Dグループ

D  机の中に手を入れてカタカタ鳴らす児童へ「みんなも先生も気になるわあ~」児童に聞くと友だちとの言い争いでイライラしていることが判明。「そうか」と先生。子ども曰く、「今聞いてほしい」、「二人の話今聞いてあげたいけど、ちょっと見て。みんな待ってるし休み時間絶対聞くから……」

Eグループ

E  「先生寝てます」と周りの児童。「よく寝てるなあ」優しく先生が声掛けします。「算数わからへん」その児童は続けて「計算でけへん。6の段わからんし」、先生「算数きらいなんや。何が好き?」、「ゲーム好き」、「あとで先生といっしょにやろう」、「俺は今やりたい……」悩む先生。児童にわがままを押し切られそうに……。

Fグループ

F  机の中に手を入れてカタカタ音を立てています。「算数おもんない」「わかるう……」「好きなんタブレットちゃうん?」色々聞いてもその児童は音を立てることに集中しています。周りの児童から「集中できません」との声が。さあ、先生はどう反応する?
「みんなでカタカタやる?」みんなでその子に合わせてみます。カタカタの大合奏! これも一つの方法?

 皆さんの発表を拝見し、日々、苦心して誠実に対応している先生方自身の試行錯誤の姿が想像されました。現場のありのままの姿を共有する機会がつくれたのではないかと感じました。

 現実の授業の場面でも、うまくいかない場合はたくさんあります。けれども、児童一人一人の成長を誠実に願う教師の心は、このような振る舞いを通じて、子どもたちの心のどこかに残り続けるものだと確信しています。

 肯定的価値づけの姿勢は、どこまでも「子どもを信じて接していく心」を鍛えることにつながっていきます。

先生方の児童理解力の向上のための演劇創作活動

400字スキットの作品に出てきた「あな」の大きさは?

 後半は、まず、子どもたちが、多様なコミュニケーションツールにさらされている現状を確認。多様な他者を理解する寛容性を育む機会を意図的に作る必要があることを提案しました。

 そのために、先生方の児童理解力の向上が容易な、演劇創作活動の実践が有用であることをお伝えしました。
 その一つとして、400字スキット創作作品のファシリテート体験を二作品ずつ、グループごとに行いました。実際に子どもたちが作った作品を、初見で先生役の人に読んでもらい、肯定的にファシリテートします。

(作品の一例)小学2年生の作品『あそぼ』

 本研修では、研修開始直前と直後に、アンケートにご協力いただきました。統計学の知見を活かし「一対の標本によるt検定」を行い、この研修の効果を検証しました。内容は、自己肯定感と他者意識の向上について、それぞれ5つの問いを用意したものです。分析の結果、研修の内容で効果があったところ、研修自体の改善点、個々の先生方の持っておられる課題意識について、確認することができました。
 また、8月3日には、校長先生とアンケート結果について共有しました。今後の大桐小学校の教育活動の充実につながりますよう願っております。

ファシリテート体験後の振り返り交流

 機会がございましたら、また教職員のみなさまの実践力の涵養のために協力させていただけましたら幸甚です。
 この度は、大変にありがとうございました。

投稿者プロフィール

武田正道
武田正道
一般社団法人ここで 代表理事。
1965年生まれ。出版社勤務等を経て1992年より公立中学校社会科教諭。2006年夏に大阪府中学校演劇協会と出会い、創作劇活動の教育的効果に魅力を感じ研究を始める。

枚方市立西長尾小学校校長就任後は、「対話力」の向上に高い効果をもたらす「発達段階に合った創作劇活動カリキュラム」を構築し、2023年度から全学年で実施。心理的安全性のある教育環境づくりへ尽力。2025年3月退職後も教育支援活動を継続。

趣味は映画鑑賞、ピアノ練習、雑談、自作カレーづくり。