【活動報告】八尾市教育センターにて、小中一貫教育担当者研修の講師を務めました。
中学校区で育む 児童生徒の自己肯定感 ――演劇創作活動×非認知能力の育成

八尾市立小・中学校、義務教育学校各校の小中一貫教育担当者の皆様がご参加くださいました。
八尾市では、令和7年度の市政運営方針において、非認知能力の育成が重点取組として示されました。各中学校区での目指す子ども像の実現のために、小中一貫で、切れ目のない非認知能力の育成を重点とした教育の推進が行われています。
現場で子どもたちを支える先生方の努力に、少しでもお役に立てるならばという思いでお話しさせていただきました。
「他者意識の薄い自己表現」だらけの「情報の海」
そんな世界を自力で泳いでいる子どもたち――SNS世代
前半は、初めに校長時代の具体的な取り組みと、子どもたちの変容の様子をお話しました。続いて演劇創作活動の具体的な取り組みの意義を伝えました。最後に演劇創作の実践がSNS世代の課題解決への突破口となる理由についてお話ししました。

テクノロジーの進歩による子どもの変化
- 感情的な自己表現は強くなったが、他者意識は弱く
なった。 (SNS世代の行動様式を推察) - 「他者意識の薄い自己表現」だらけの「情報の海」で自力
で泳いでいる。 - コミュニケーションの実体験が少なく、リアクションが形
式的。 ※つくられた記号でふんわりと反応(絵文字やスタンプなど)


①感情的な自己表現の量が圧倒的に多い
→ 写真・動画・ライブ配信で常に“見せたい自分を演じる”
②自己承認の基準が関係性ではなく外部化(テクノロジーのしくみに依存)している。
→ いいね、フォロワー、コメント…反応が数字で返ってくる。相手の感情を読む必要がない。
③フィルターバブルの影響(似た意見や同じ嗜好の人とだけ共有する)
→ 異質な他者と関わらない。理解しなくて済む
※SNS上の人格が現実の行動に影響することも
演劇創作活動がSNS世代の課題を解決する突破口になる理由
① 演劇は「他者の視点に立つ」ことを強制する
役を演じるとは→他者の感情・他者の背景・他者の価値観を理解しなければ成立しない。
※SNSでは育ちにくい“他者の内面を想像する力”が自然に鍛えられる
② 演劇は「自己表現」を安全に行える場をつくる
SNSの自己表現→ 承認の競争・数字の評価・つくられた個性=その世界でのみ通用する限界性
※これを突き破るには、自己開示の不安を超える力が必要。
演劇→ 失敗してもよい・役として表現できる・他者と協働する=安全な環境で自己表現ができる。
※自己開示の良さを感じやすい。
③ 演劇は「物語を協働してつくる」経験を与える
SNSは“個人の発信”が中心
演劇は“協働創作”
・他者の意見を聞く ・全体の物語としてまとめる
④ 演劇は「自分の感情を言語化する力」を育てる
SNS世代:感情の一方的表現は得意。でも、感情の整理や言語化は苦手。
演劇創作→ ・なぜこの役は怒るのか ・この場面で何を伝えたいのか ・自分はどう感じたのか
これらを言語化して理解する必要(伝わるようにするため)。
※情動調整能力(エモーショナル・リテラシー)を高める
☆演劇創作活動は、SNS世代が持つ課題 “自己表現の暴走”と“他者意識の欠如”への、直接的な教育的効果を生みだすアプローチです。

さあ、ファシリテートを実体験してみましょう
後半は400字スキットのファシリテート体験を8つのグループに分かれて、グループ内で教師役と児童役に分かれ、教師役が、児童生徒のつくった作品を朗読し、肯定的に価値付けする実践を体験してもらいました。
非認知能力を伸ばすのに、演劇的な手法は非常に親和性が高いです。
体験後は他のグループとの意見交流を行いました。最後に、気づきや感想をグループの代表の方にお話いただき、全員で振り返りを共有しました。

お話を伺うなかで、400字スキットの創作ワークショップの授業が、授業者自身の鍛えになることをよく理解していただけたと実感しました。
終了後、4名の先生方がご相談に来られ、中学校区の教職員研修の講師として招聘したいというお話をいただきました。
演劇創作活動が、非認知能力を発揮することにフォーカスした、楽しく取り組める効果的な指導であることがご理解いただけたようで、大変嬉しく思いました。
八尾市の教職員の皆様、大変にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール

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一般社団法人ここで 代表理事。
1965年生まれ。出版社勤務等を経て1992年より公立中学校社会科教諭。2006年夏に大阪府中学校演劇協会と出会い、創作劇活動の教育的効果に魅力を感じ研究を始める。
枚方市立西長尾小学校校長就任後は、「対話力」の向上に高い効果をもたらす「発達段階に合った創作劇活動カリキュラム」を構築し、2023年度から全学年で実施。心理的安全性のある教育環境づくりへ尽力。2025年3月退職後も教育支援活動を継続。
趣味は映画鑑賞、ピアノ練習、雑談、自作カレーづくり。





