【活動報告】八尾市立曙川南中学校区合同研修会の講師を務めました。―― 非認知能力の育成と肯定的価値づけ  2026年8月28日(金)

演劇創作活動の効果的な導入

「非認知能力の育成と肯定的価値づけ ―― 演劇創作活動の効果的な導入」が演題です。肯定的な価値づけの意義とその機会の必要性についてお話ししました。また、対話的なワークと400字スキットのファシリテート体験をしていただきました。

中学校区合同研修会 ―― 新学期の熱気とともに

 会場は八尾市立青少年センター3階集会室です。

 新学期の慌ただしい時期にもかかわらず、先生方が全員そろって参加される研修です。開始前、準備をしていると、明るく談笑しながら先生方が次々と入室されます。約120名の先生方が学校を離れて集まる様子には、「新学期、さあ、子どもたちのためにがんばろう」という息吹が感じられました。その姿を見ながら、「今日の研修を必ず成功させよう」と重ねて決意し、開始時間の14時半を迎えました。

非認知能力の育成への熱量


 八尾市立小・中・義務教育学校では、市全体で「非認知能力の育成」の方針を掲げておられます。参加された先生方の課題意識は非常に高く、「肯定的価値づけ」の意識についてのお話しでは、皆さんの視線が、私に一斉に注がれるのを熱く感じていました。

演劇創作活動の力 ― 想像の“すきま”が生む心理的安全性

 まず、演劇創作活動の具体的な姿を感じていただくため、過去の子どもの作品を朗読しました。

その後、数名の先生方と作品についてやり取りを行い、台詞だけの作品が持つ特徴として、

1)聞き手が想像で補う「すきま」が多いこと

2)一人ひとりの頭の中に浮かぶ絵は必ず違うこと

を確認しました。

 実際に作品を聴いたあと、先生方全員にハンドジェスチャーで「頭に浮かんだ形」を一斉に示していただくと、当然ながら全員違う形が出てきます。この体験を通して、「他者と自分の考えは違って当たり前」ということを、心理的安全性のある場で共有できる活動であることをご理解いただきました。

途中まででも大丈夫。自分の中から少しでも生み出したことに価値があります。この後はみんなで考えよう!!

SNS世代の課題と肯定的価値づけ ― 子どもの成長を支える視点


 続いて、SNS世代が抱える課題を共有し、演劇創作活動を先生方自身が指導することで、先生自身の「肯定的価値づけの力」が磨かれるという特徴を確認しました。

さらに、子どもたちの自己肯定感や他者意識が向上した様子を、行動の様子やアンケートの経年変化を通して共有しました。

対話ワーク ― 受容と肯定について

いよいよ対話的なワークです。まずは2人一組で交互に自己紹介。聞く側は全肯定で「うなずき」ます。続いて肯定的リアクションについて具体的に深めていきます。

特に、「受容」と「肯定」の違いを整理しました。

受容:相手の存在を否定しないこと

肯定:プラスの価値を見出し、言葉や表情で伝えること

価値を見出し伝えなければ、本当の意味で肯定的価値づけにはならないという点を共通理解しました。

「言い訳」のリフレーミング体験 ―― 行動の奥にある“事情”を探る


 続いて、子ども役と先生役を交互に行い、「言い訳」のリフレーミング体験をしました。

 忘れ物や指示が聞けない場面に対し、先生役が
「もしかしたら、〇〇の事情があるのかもしれない」
と、行動の奥にある背景を肯定的に探るワークです。

 短時間ながら、うまくリフレーミングできたペア、難しかったペアなど様々な姿が見られました。演劇的なワークは「疑似体験」なので、失敗もOKです。演劇創作活動が心理的安全性がある機会をつくっていることを実感していただけたようでした。

本日のメイン ―― 400字スキットのファシリテート体験

 演劇創作活動が「他者意識に立ち思考する力」を育むことを確認したうえで、メインワークである「8人一組による400字スキットのファシリテート体験」に移りました。

各グループ3人を先生役に選び、一人1回ずつ作品の朗読とファシリテートを児童生徒役の方々を相手に行います。今日の学びを自分なりに落とし込みながら実践する姿は、肯定的価値づけの精神にあふれ、どのグループも大変に盛り上がりました。

表情や雰囲気が伝わるようイラスト化しました。


 回を終えるごとに私が新たなコツを解説します。そのコツを意識して次の先生役が実践していきます。回を重ねるなかで先生役と児童生徒役のやりとりにどんどん深みが生まれていきます。

このようにして、この場にいるすべての先生方がみんな笑顔になっていくのを見ながら、私も嬉しくなりました。最後には、どのグループでも質の高いファシリテートが行われるのを見届けることができました。


 8人ずつ輪になって朗読に耳を傾け集中している場、そこはもう朗読している先生の「学級」です。グループの数だけそんな心理的安全性のある場が生まれていました。

最後は2グループ合同で感想・意見交流しました。

 一つ一つの作品に集中してやり取りしているみなさんの横顔を見ながら、曙川南中学校区のすべての先生方に心で拍手を送っている自分がいました。

実践への意欲があふれる研修後の声

 終了後、何人もの先生が感想を伝えてくださいました。
「肯定的価値づけの意義を実感できた」
「小中合同の研修でこんなに交流できたのは初めてでした」
「めちゃめちゃ楽しかった」
「担任している子どもたちに実践したい」
という嬉しい声もいただき、「ぜひ応援させてください!」とお返事しました。

 小中4校の校長先生をはじめ、研修の準備から当日の運営まで、より良い研修を目指してご尽力くださった各校の小中一貫教育担当者の皆様に、心より御礼申し上げます。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

武田正道
武田正道
一般社団法人ここで 代表理事。
1965年生まれ。出版社勤務等を経て1992年より公立中学校社会科教諭。2006年夏に大阪府中学校演劇協会と出会い、創作劇活動の教育的効果に魅力を感じ研究を始める。

枚方市立西長尾小学校校長就任後は、「対話力」の向上に高い効果をもたらす「発達段階に合った創作劇活動カリキュラム」を構築し、2023年度から全学年で実施。心理的安全性のある教育環境づくりへ尽力。2025年3月退職後も教育支援活動を継続。

趣味は映画鑑賞、ピアノ練習、雑談、自作カレーづくり。