日々の忙しさを手放し、創造性を引き出すゆったりとした時間を。――400字で綴る「人生の棚卸し」ワークショップ

心が震えた「400字の物語」創作レポート

5月9日(土)、「アルチザンマム西商店」さんにて、**「400字で綴る物語 演劇創作ワークショップ」**を開催しました!

土曜日の朝、久しぶりに訪れた昭和レトロな西商店2階の和室。

まるでおばあちゃんの家に遊びに来たかのような、ほっと落ち着く空間です。

この日は3名の方が参加してくださり、ご自身のなかに眠る「創造性」に光をあてる、ゆったりとした時間を過ごしました。心がじんわりと揺さぶられる、本当に尊い時間となりました。

今回のテーマは、自分の「人生のひと場面」

これまでの講座では自由に物語を書いていただいていましたが、今回はちょっと特別なアプローチ。ご自身の「心に残っている人生のひと場面」を素材にしました。その時感じたリアルな感情を、どうすれば他者に届けられるか――。

参加された方がさりげなく話された「人生の棚卸し」という言葉がとても印象的でした。

まずは自己紹介のあと、400字スキット(短い劇の台本)の作品例を見ながら、書き方のコツや特徴をお伝えします。「対話(セリフ)で進むから、実は普通の文章よりも話し言葉で書きやすいんですよ」といった説明に、皆さん熱心に耳を傾けてくださいました。

Aさんのメモです。

西商店の環境が生みだすもの

続いてお渡ししたのは、「こころにのこったひとことシート」

これまでの人生で、自分の心が大きく動いた瞬間を切り取るワークです。

ここで、西商店さんのリラックス効果が本領を発揮!

どこか懐かしい雰囲気に背中を押されるように、皆さんの筆が動き出します。

一点を見つめ、ご自身の記憶と丁寧に向き合う表情は、大変に美しく、講師である私も、この姿にいつも深く感動してしまいます。

実は、このシートに書いた「ひとこと」が、物語の最大の「山場(クライマックス)」になっていくのです。

「ウソと真実」を包摂する――上手な文章じゃなくていい、演劇の不思議な力

さあ、頭に浮かんだ場面を、いよいよ原稿用紙の上で「対話」へと文字起こししていきます。その時に必ずと言っていいほど直面するのが、「ウソと真実」の葛藤です。

自分の感動をそのまま「事実」として伝えても、他人にうまく伝わらないことってありますよね。時には誤解されてしまうことも。

そこでこのワークショップでは、事実をそのままなぞるのではなく、その時の「心の動き」が一番まっすぐ伝わるように、あえてセリフや場面のやり取りを「創作」します。

物語の形としてはフィクション(ウソ)を交えつつも、そこに描かれる主人公の心の変化は、まぎれもない「自分自身の真実」

このコツを掴んだ瞬間、皆さんの筆は羅針盤を得たかのように、一気に走り出しました!

この「乗ってきた!」という変化の瞬間を見るのが、講師として何よりやりがいを感じる瞬間です。実際に鉛筆を動かしていたのは30分ほどでしたが、濃密な集中時間が流れていました。

ここがポイント!

当ワークショップは「上手に小説を書く講座」ではありません。言葉を通して、自分の大切な感情を再発見する場所です。だから、文章が苦手な方でも安心してご参加いただけます。

声に出して届ける、それぞれの大切な物語

作品が完成したら、いよいよ作者ご本人による朗読タイムです!

Aさんの作品:ご自身の原点となった、心に深く焼きついている出来事

短時間でものすごく推敲されていました。

ご予約の時から「表現したいことがある」と強い想いを持たれていました。朗読の途中、台詞のやり取りが一瞬止まりました。ぐっと涙をこらえていらっしゃいます。とぎれとぎれになりながらも、震える声で最後まで読み聞かせてくれたその姿に、私も思わずもらい泣きしてしまいました。自身の人生の原点を見事に表現された、素晴らしい作品でした。

Bさんの作品:かつて先輩からかけられた、救いの言葉を大切に紡いだ物語

学生時代に演劇の経験がある方で、さすがの通る声が生き生きと響き、和室の中にその場面の絵がはっきりと浮かび上がりました。以前にも400字スキットの経験があり、「久しぶりに原稿用紙に向き合えて新鮮だった」と、懐かしそうに笑顔で語ってくださいました。

※後半からご参加いただいた3人目のCさんも、誠実に「ひとことシート」に向き合ってくださいました。今回は作品完成までは届きませんでしたが、「ここにいて皆さんの話を聞き素晴らしい時間になりました」と素敵な感想をいただき、本当に嬉しかったです!書くことだけがゴールではなく、そのプロセス自体に大きな価値があるのだと、私自身も再確認させていただきました。

最後に:あなたも「ちょっと人生の棚卸し」、してみませんか?

ご自身の人生を慈しむように、丁寧に言葉を紡いでくださったAさんとBさん。

そして「次は最初からじっくり取り組みたいです!」と未来へ繋がるお話をしてくださったCさん。

皆さんの温かいエネルギーのおかげで、これ以上ないほど素敵な空間をつくることができました。

本当にありがとうございました!

「日々の忙しさから少し離れて、自分の心を見つめてみたい」

「ちょっと人生の棚卸しをしてみたいな」

そう思われた方、ぜひ気軽にお喋りしにくる感覚でいらしてください。あなたにお会いできるのを楽しみにしております。

次回開催のお知らせ

日時: 6月13日(土)10:30〜12:30

場所: アルチザンマム西商店(2階和室)

詳細・お申し込みはこちら:https://forms.gle/RzpLFCWfbsVM9HXM9

 ※定員になり次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。  ※最新のイベント情報は、アルチザンマム西商店Instagramでも配信しています

投稿者プロフィール

武田正道
武田正道
一般社団法人ここで 代表理事。
1965年生まれ。出版社勤務等を経て1992年より公立中学校社会科教諭。2006年夏に大阪府中学校演劇協会と出会い、創作劇活動の教育的効果に魅力を感じ研究を始める。

枚方市立西長尾小学校校長就任後は、「対話力」の向上に高い効果をもたらす「発達段階に合った創作劇活動カリキュラム」を構築し、2023年度から全学年で実施。心理的安全性のある教育環境づくりへ尽力。2025年3月退職後も教育支援活動を継続。

趣味は映画鑑賞、ピアノ練習、雑談、自作カレーづくり。