枚方市立さだ東小学校で伝わり方の違いを実感し合う演劇創作活動を実施!(2025年9月12日)

2年生の子どもたちが、他者意識をもつことの大切さを実感しました。
枚方市立さだ東小学校は、緩やかな起伏のある校区にあります。この暑い夏も、毎日子どもたちは坂道という負荷を歩き乗り越えて通学していると伺いました。日々のそのような鍛えもあるのでしょうか、演劇を創作した2年生の子どもたちには、協力し合う我慢強さと優しさを感じました。

2コマの時間を使い、「何をやっているのでしょう。あてっこゲーム」おこないました。ひとグループ5人程度で7グループが劇をつくり発表し、伝わり方の違いを実感し合う活動です。
兵庫県豊岡市から学んだ「演劇的手法を生かしたコミュニケーション授業」
この手法は兵庫県豊岡市が全市で取り組んでいる「演劇的手法を生かしたコミュニケーション授業」の一つに学び、応用したものです。グループごとに与えられた「お題」にしたがって一つの場面をジェスチャー(台詞なし)で表現します。

他のグループは観客として、その発表を鑑賞します。発表後は、それが何に見えたのかを伝え合います。間違っていても、見えた理由をきくと「なるほど! 確かに!」「そのようにも見えるね!」と思えます。「あてっこ」という形をとりますが、正解よりも、違いを味わうことを大切にします。

違いを味わう瞬間は他者意識に気づく入口です。
今回、印象的だったのは、あるグループの演技でした。なにかを大切そうに順番に下手(客席から舞台に向かって左側)から運んできて、それを舞台の真ん中に順番に座って置いていくような仕草を続けます。

何をやっているように見えたか観客の子どもたちに聞くと「ミニトマトの植え替えをしている」との返答。他にも何か植物をそだてているように見えたという類の言葉が聞かれました。

演技をした子たちに「実際には何をやっているところを伝えようとしていたのかな?」と聞くと5人一斉に元気いっぱいの声で「図書の時間!」。観客の子たちは「ああ、そうか」「ええっ!」と少し驚いた様子でしたが、ふりかえってみると、確かに本棚から大切に本を運んでテーブルの席について、座って本を読んでいた絵が浮かびます。これが違いを味わう瞬間です。
実感することで他者意識を涵養する演劇創作活動
そんなやり取りを重ねるなかで、受け止め方が一人ひとり違うことに気づいていきます。このような、間違いを肯定的に味わうゲームを行うなかで、「受け止め方が違うことが普通にあること」「ほかの人とお互いに理解し合うためには、立ち止まって考えることが大切であること」を体感します。
「友だちと意見が違って、あれ? と思ったとき、それには理由があるはず、と思って、立ちどまって考えてみてください。すると、友だちの考えや気持ちがよくわかると思います」
最後にそんな話をすると、子どもたちは、たしかにそうだというようにしっかりうなずいてくれました。
さだ東小学校2年生の子どもたちは、2学期中にもう一度、演劇創作活動を行う予定です。
このように、演劇創作活動は、実感を伴う他者意識を涵養していきます。
投稿者プロフィール

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一般社団法人ここで 代表理事。
1965年生まれ。出版社勤務等を経て1992年より公立中学校社会科教諭。2006年夏に大阪府中学校演劇協会と出会い、創作劇活動の教育的効果に魅力を感じ研究を始める。
枚方市立西長尾小学校校長就任後は、「対話力」の向上に高い効果をもたらす「発達段階に合った創作劇活動カリキュラム」を構築し、2023年度から全学年で実施。心理的安全性のある教育環境づくりへ尽力。2025年3月退職後も教育支援活動を継続。
趣味は映画鑑賞、ピアノ練習、雑談、自作カレーづくり。